高校物理と真空ポンプ

古代のある哲学者は、「重い物ほど速く落下する。百倍重い物は百倍速く落下する」と考えました。ところが、近世にこの考えに疑義を示した高名な物理学者が衆人環視の中で行った、重さの異なる二つの物体の落下実験によって、この考えは否定されることになりました。

なぜこのような誤解が生じたのかと言いますと、実際に鳥の羽根などのように軽いものは、硬貨などよりもゆっくりと落下するからです。羽根がより大きな空気抵抗を受けることで落下速度が遅くなることが示されたのはもっと時代が下ってからです。

これは、高校物理の授業の中で簡単に実演できます。まず、透明な筒の中に羽根と金属球を入れ、大気圧においては羽根が金属球よりもゆっくりと落下する所を見せます。次に、この筒に真空ポンプ(メカニカルブースタポンプなど)をつないで真空に引きますと、今度は羽根と金属球が同じ速さで落下するようになるのが観察されます。

この実験の目的は、重力加速度が物体の質量によらず一定であることを示すためのもので、真空ポンプの役割は副次的なものです。真空技術の重要性に鑑みて、高校生にもっと真空に親しんでもらえるような実験を考えないといけません。

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